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健康経営度調査 / 令和8年度

令和8年度 健康経営度調査の変更点まとめ

経済産業省の検討会資料と調査票素案を読み込み、大規模法人部門で何が変わるのかを整理しました。2026年7月時点の案・素案にもとづく内容です。

本記事が扱う内容は案・素案の段階であり、確定版ではありません。 最終的な要件は必ず公式情報をご確認ください。

経済産業省の第6回 健康経営推進検討会(2026年7月14日)で、令和8年度の施策と調査の方向性が示されました。あわせて令和8年度 健康経営度調査票の素案も公開されています。ここでは、大規模法人部門で何が変わるのかを一次資料から整理します。

変更は大きく2つです。ひとつはホワイト500の必須要件が再構成されること。もうひとつは睡眠が独立した設問(Q55)として新設されることです。

とくに前者は、自社の従業員だけを見ていては満たせない要件が必須化される点で、これまでの進め方の延長では対応しきれない可能性があります。

ホワイト500の要件は、どう変わりますか?

健康経営優良法人2027(大規模法人部門)の要件に加えて、ホワイト500・健康経営銘柄2027 では次の5つが必須とされています。

設問 必須要件
従業員パフォーマンス指標及び測定方法の開示
Q20 他社からの派遣社員等や家族への健康支援
Q21 トップランナーとして健康経営の普及に取り組んでいること
健康経営推進に関する経営レベルの会議での議題・決定
Q38 従業員への健康経営の理解・促進

このうち Q20 は、自社の従業員向け施策をいくら充実させても満たせません。対象そのものが「自社従業員以外」だからです。

Q20:今年は片方でよいが、来年からは両方

Q20 は「自社従業員以外への健康支援を行っていますか」を問うもので、2つに分かれています。

  1. 他社からの派遣社員や常時使用しない従業員への健康支援
  2. 従業員の家族への健康支援

調査票素案には、次の注記があります。

今年の時点では a. と b. のどちらかを実施していればホワイト500認定要件が適合となりますが、次年度以降は a. と b. 両方とも実施していることをホワイト500認定要件とすることを予定しております。

つまり 今年は片方でよいものの、来年からは両方が必要になる見込みです。派遣社員とそのご家族、従業員のご家族まで届く施策を、いまのうちに用意しておく必要があります。

Q21:グループ会社・取引先への普及

Q21 は「自社以外のグループ会社や取引先等への健康経営の普及・支援を行っていますか」を問う設問です。取引先等への支援では、ノウハウの提供のほか 「具体的な健康経営施策自体を直接提供している(講師派遣、費用負担や場所の提供等)」 も選択肢に含まれます。

睡眠に関する変更点は何ですか?

最大の変更は、「睡眠の質向上に向けた取組」が独立した設問(Q55)になることです。

令和7年度までは Q56「従業員の生産性低下防止への施策」の中の一項目で、肩こり・腰痛・飲酒・花粉症などと並ぶ小項目のひとつにすぎませんでした。令和8年度案では睡眠が単独で問われます。回答するすべての企業が「睡眠について何をしているか」を答えることになります。

Q55 の選択肢は9つ

設問文は「従業員の睡眠の質向上のために、どのような取り組みを行っていますか。(いくつでも)」です。

  1. リフレッシュルームや仮眠室を設置している
  2. パワーナップ等仮眠制度を導入している
  3. 執務室内の照明を工夫している(サーカディアン照明の設置、昼食後の消灯等) ← 追加案
  4. SAS検査を実施している(費用補助を含む)
  5. 睡眠改善や休憩取得を促すアプリ等を利用できるようにしている
  6. 睡眠改善を目的としたウェアラブルデバイスを配布している(費用補助を含む) ← 追加案
  7. 産業医・臨床心理士・保健師等による睡眠関連指導を実施している
  8. その他
  9. 特に行っていない

3と6が令和8年度に新しく追加される案の選択肢です。デバイスによる客観計測と、空間・環境側の設計が、明確に評価対象として位置づけられます。

数値の記入を求められる項目もある

Q55 が新設されるだけでなく、従来から睡眠に関する設問は調査票に含まれています。とくに Q62(d)「睡眠により十分な休養が取れている人」の割合 は、健康診断の結果数値として記入を求められます。

これは取組の有無ではなく 結果としての数値 であるため、実際に測っていないと書けません

他社は、どこまでやっているのですか?

令和7年度の調査(大規模法人部門・n=4175)では、次のような実施状況でした。

取組 実施率
仮眠室の設置 60.8%
睡眠関連指導の導入 47.1%
睡眠改善アプリの導入 39.6%
その他 35.4%
SAS検査の実施 18.9%
仮眠制度の導入 5.1%

仮眠室の設置が60.8%ある一方で、仮眠制度の導入は5.1%。その差は約12倍です。つまり多くの企業で 「場所はあるが、使ってよいという制度がない」 という状態が起きています。

設置率が高い項目は、やっていても差がつきません。逆に実施率が低い項目に取り組めば「他社がやっていないこと」として記載できます

睡眠は表彰の対象テーマにもなる

経済産業省は「テーマ別ベストプラクティス」として、次の5テーマで先進事例を収集し、大企業10社・中小企業40社を選定・公表する予定です。

  • 女性の健康保持・増進に向けた取組
  • 仕事と介護・治療・子育ての両立支援の取組
  • 睡眠の質向上に向けた取組
  • 高年齢従業員に配慮した健康づくりや職場環境整備の取組
  • その他

選定基準は 先進性・横展開の可能性・実効性 です。睡眠での先進的な取組は、公表・表彰の対象になり得ます。

その他の主な改訂

  • PHR(ライフログ)データの利用促進:健診結果とライフログを同一サービスで提供している企業は約4割。令和8年度は活用実態をより詳しく把握する方向で設問が改変される案
  • 健康経営銘柄 Premier の新設:銘柄に通算10回以上選定などの要件を満たす企業を層別化する新枠組み
  • 企業の健康投資額:大規模法人部門のみを対象に把握(評価対象外)
  • ライフデザイン経営:認知度・必要性・取組内容を問う設問を新設(アンケート項目)

背景:なぜ睡眠が重点になったのか

  • 「経済財政運営と改革の基本方針2026(原案)」に「睡眠対策を含む健康経営の推進」が明記された
  • 2026年3月、睡眠関連の2つの業界団体から連名で業界自主ガイドラインが公表された
  • 2026年6月から、医療機関が「睡眠障害」を診療科名に使えるようになった

経済産業省の資料では、睡眠は健康を支える最も重要な要素の一つと位置づけられています。

何から始めればよいですか?

「土台をつくる → 測る → 実装する」の順が効率的です。

いきなり仮眠室をつくっても、測っていなければ効果を説明できず、社内の合意も得られないまま使われない部屋になります。先ほどの 60.8% 対 5.1% という差は、まさにその結果です。

  1. 土台をつくる:全従業員向けの健康教育で、健康への関心そのものを底上げする
  2. 測る:睡眠を測って現在地を数字にする
  3. 実装する:オフィスの環境と制度を整える

出典

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